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官民連携講座レポート「地方創生カレッジ in 奈良~地域の観光資源をSDGsの視点で磨き直す~」
「地方創生カレッジ in 奈良~地域の観光資源をSDGsの視点で磨き直す~」が、2022年3月18日(金)に開催されました。
開催概要
主 催 | 公益財団法人 日本生産性本部 |
事務局 | 公益社団法人 ソーシャル・サイエンス・ラボ |
【テーマと概要】
奈良市エリアで実践されている「奈良SDGs学び旅」は、教育旅行等を中心に、地域の歴史文化遺産をSDGsの視点で学ぶ旅を提供している。また奈良市のみならず、県内各地にある歴史文化や自然、習慣、伝統的地場産業などについても、SDGsの視点で捉え直すことで、地域の観光資源を磨き直し、持続可能な地域社会の創造に寄与することができると考える。
本事業では、奈良教育大学でESDティーチャープログラム(持続可能な社会づくりの担い手を育むことを目的とした教育活動)を履修する大学生と、地域の魅力を引き出し、人々に伝えてきた観光ボランティアガイドがチームを組む。そして、奈良県内の2地域(曽爾村、明日香村)を対象に、地方創生の担い手たちと協働でフィールドワークを実施した。各地域のSDGsの視点(=タネ)を見つけ出し、学生チームからのプレゼンテーションをベースに意見を交わすことで、その地域の観光資源を磨き直すヒントを探った。
今後は、奈良県内の多様なエリアをSDGsのテーマで結び、教育旅行の分野等でもニーズが見込まれる、県内周遊型の「SDGs学び旅」の商品開発にもつなげ、教育機関や県内外の旅行会社などにも発信することで、奈良県広域で連携した地方創生の一助としていきたい。
下の画像をクリックすると、本セミナーのチラシ(pdfファイル)をダウンロードいただけます。
参加者
計48名
・フィールドワーク参加者:8名(奈良教育大学生6名、奈良まほろばソムリエの会ガイド2名)
・曾爾村:10名(そにのわGLOCAL 2名、曽爾村役場3名、曽爾村観光関係者5名)
・明日香村:7名(明日香村観光農林推進課・総合政策課計5名、観光関係者2名)
・外部視聴者:15名(東京都産業労働局観光部1名、新潟市役所観光推進課1名、川上村役場1名、まほろばソムリエの会2名、朱雀の会1名、一般3名、ノブレスグループ6名)
・事務局8名:(講師2名、ファシリテーター1名、ソーシャル・サイエンス・ラボ5名)
参加にあたっては、本事業のテーマに関連した「地方創生カレッジ」eラーニング講座の事前学習を行っていただきました。
プログラム
■2022年3月18日(金)13:00~17:00
※タイトルまたは画像をクリックすると、動画をご覧いただけます
【特別講義1】
講演タイトル:「エクスペリエンス・エコノミーを地方創生の起爆剤に!」 ~奈良県はSDGsのフィールドミュージアム~
◆福井昌平氏
・所属:イベント学会副会長
・プロフィール:愛・地球博チーフプロデューサー
平城遷都1300年祭チーフプロデューサー
【特別講義2】
講演タイトル:「地域の歴史文化・伝統行事・伝統産業から学ぶSDGs」
◆中澤静男氏
・所属:奈良教育大学准教授
・プロフィール:近畿ESDコンソーシアム事務局長
近畿地方ESD活動支援センター企画運営委員
きんき環境館アドバイザリー委員
【フィールドワーク報告②】
プレゼンタイトル:「脈打ちつながる1400年、明日香村 ~私たちの思う明日香らしさ~」
奈良教育大学大学生 明日香村フィールドワークチーム
※動画は上記【フィールドワーク報告①】の後半をご覧下さい。
【意見交換】
オンライン形式で、奈良教育大と曾爾村、明日香村のサテライト会場をつなぎ、学生チームがフィールドワークで連携した、現地サテライトの役場・観光関係者に向けて、プレゼンテーションとそれぞれの村との意見交換を行いました。
※コロナ禍が収束していないため、参加者は事前登録者に限定し、オンライン開催としました。
※地方創生「連携・交流ひろば」交流掲示板へ、事務局から投稿がなされています。
ワークショップ等の成果
参加者の声から
【曾爾村受け入れ団体からの意見】
- 曾爾村は地域のつながりが強い、それが一番の強み。村民の方は、自主的に観光の方に力を入れてくれたり、イベントをするときも協力して参加してくれたりする。コロナ禍でイベントはできていないが、曾爾村と観光協会でやるのでまた来てほしい。
- 観光資源を利用して事業をしているが、どの事業をやっていくにも高齢化が問題、後継者が心配、なにかアドバイスがあれば教えていただきたい。
- 自分たちが取り組んでいたことにSDGsの視点がたくさんがあることを聞いて嬉しい。私たちの活動は村の中外との幅広い連携が大切、もっといろんな人と手を組んで、村にとってより良いことに繋がればいいなと思っている。また、新規就農が増え、高齢化で心配している人の後継者が見つかるなど、そういうことに協力してもらえると有難い。
- 通常のガイドをやってきたが、今回SDGsの考え方の中で参加してもらい、こういうこと感動してもらえるのか、こんなことに気付いてもらえるのかがわかり、感動した。
- 実際に来てもらったことで、観光地だけではなく、地域の方々とつながってもらったことが有難く、自分自身、楽しかった、ワクワクした。
- 発表の中で、新しい視点で曽爾村を見ることでき、また新しいアイデアも出てくると思う。今回のプログラムで、曽爾村とほかの地域とのつながりができ、新しいツアーのアイデアも欲しい。
- 曾爾村に帰ってきて3年目で、農体験を提供した畑の作物も十分ではなかったが、言葉にして発表してもらって、これからいろんなものを作っていこうと意欲がわいた。
- 今まで景観を観光の売りにしてきたが、その土台にはその景観を守ってきた人の持続的な営みがあり、その営みを見える化することによって、都会的な暮らしをする人にも魅力を発信できるし、村の人も価値に気付いてもらえると思う。SDGsという切り口を今後の曽爾村に活かしていきたい。
【曾爾村フィールドワークチームの感想】
- 自分だけで曾爾村に行くよりも、今回のフィールドワークで地域の人と関わることができ、そこに住む人たち、そこで頑張っている人たちと出会えると、また会いたいという思いが出てくる。どんな形でもいいからまた曾爾村と関わりたいと思う。
- 曾爾村を訪れてからずっと夏休みに帰省したい村だと思っていた。懐かしさを感じ、こういう場所に戻りたいと感じるような場所で、SDGs以外の魅力も感じた。
- 曾爾村にまた来てねと言っていただいたので、ユネスコクラブのみんなを連れてまた行きたいと思う。
- 曽爾村にはSDGsのタネがたくさんあり、村の人は気づいていない、そんな視点で見たことがなかったこともあったと思う。意識してSDGsの視点で発信していけば、その視点で受け取る人がいる、そういう意味でSDGsというのは役に立つので、今後大事な切り口にしてほしい。
【明日香村受け入れ団体からの意見】
- 発表の視点についてはよく理解できた。単なる歴史的風土の保存という視点からその「創造的活用」に向けた活動への転換に村を挙げて推進している。今回の発表で提案のあった「タネ」をその活動に活かしてしていきたい。
- 民泊等も活用した教育旅行誘致に取り組んでいる。その中でも体験プログラムが重要。今回の提案の中にあった作物を自分で収穫して食するというプログラムは、現在ニューツーリズムでも取り組み事例があるので、そのブラッシュアップなどに学生チームのアイデアなどを取り入れながら開発に活かしていきたい。
- プレゼンが上手だった。その中で気になるキーワードが「公平性」。行政としては非常に難しい問題だが、これをどう実現していくのか。もう一つは学生チームからの「皆さんと一緒にできたら」という一言で、今回のような交流の場を1回限りで終わらせたくない。若い皆さんの新しい意見やアイデアを吸い上げて実現していくのが役場の責任だと考える。
- 地元で暮らす自分たちがなんとなくいいなと思いながらも気づいていなかったものをESDの視点で見直してもらったことでいろいろな気づきが生まれた。地域外からの視点や見え方を学ぶとてもいい機会になった。今悩んでいる体験型観光商品の開発にも活かしていきたい。
- 役場では古民家の空き家マッチングも行っているが、募集自体は多数あるのに対して成立に至るケースが少なく非常に苦労している。学生チームの発表や新しい視点は、この取り組みにも活かせると感じたので、引き続き意見交換や交流の場を設けて行きたい。
- 棚田のオーナー制度に関わっているが、課題として棚田の持ち主が高齢化のため、その維持が体力的に厳しくなり、オーナー制度から離脱せざるを得ない状況が出てきている。今回のSDGs、ESDの視点はとても新鮮で、地元の魅力についても改めて考えるきっかけとなった。今回の気づきを棚田の維持にも活かしていきたい。
お問い合わせ先
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公益財団法人日本生産性本部 地方創生カレッジ事務局
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